Freud quotidien

フロイトおよび精神分析をめぐるエッセー、スローリーディング、書評、試訳などなど

2017-01-01から1年間の記事一覧

トランプとセラピストたち(続)

アメリカの精神科医やジャーナリストが寄ってたかってドナルド・トランプの“狂気”の診断に余念がないとル・モンドが報じている。 トランプ当選直後にそれぞれスタンフォード、カリフォルニア大、ハーヴァードの教授である三人の女性精神科医が「精神的不安定…

フロイトとエピジェネティクス?(その2)

第一次世界大戦に出征した兵士らのみる外傷夢は、夢が願望の成就であるとのフロイト理論の妥当性を問いただした。 そのときフロイトはみずからの夢理論を擁護すべくつぎのように推論した。 すなわち、睡眠中に心のなかに生起することすべてが夢なのではない…

フロイト熟読玩味!:『快原則の彼岸』(1)

フロイトのことばを逐語的にたどることによってその含蓄に分け入るこころみをスタートさせます。手始めに『快原則の彼岸』の冒頭を読んでみましょう。 In der psychoanalytischen Theorie 精神分析の理論において nehmen wir unbedenklich an, われわれはた…

フロイトのドイツ語(その1)

ヴァルター・ムシュクの Freud als Schriftsteller (Kindler, 1975) 以来、フロイトのドイツ語についてはすくなからぬ書が書かれている。 そのうちベッテルハイム『フロイトと人間の魂』(Freud and Man’s Soul, Knopf, 1983)、マホーニ『フロイトの書き方…

ラカン派の「魔女」狩り?:反MLP(ルペン)キャンペーン続報

フランス大統領選の第一回投票まで残すところ三週間。ラカン派(ECF)の反マリーヌ・ルペン(MLP)キャンペーンがつづいている。 ある調査によれば、「幸福度」が低い層ほどMLPを支持する傾向にある。このランキングにおいてメランションはその後塵を拝し、…

ラカン派による反ルペン声明

フランス人の3割が来る大統領選でマリーヌ・ルペンに投票するにやぶさかでないとする調査結果を「ル・モンド」が公にしている現在、国民戦線の党首がかの国の政権を手中にする可能性がいよいよ否定できなくなってきた。 エコール・ドゥ・ラ・コーズ・フルー…

トランプとセラピストたち

2月21日付のロサンゼルス・タイムズにトランプ現象が精神医療におよぼす影響についての記事が出ている。 いわく「なぜセラピストたちはトランプについて語るのにかくも難儀するのか?」 記事によれば、トランプ現象によってトランプ支持者および非支持者の…

ラカン的真理とトランプ的真理

Lacan Quotidien n°610 (2016年11月17日) においてアリス・ドゥラリュが指摘しているように、トランプのことばは自己検閲を逃れ、侮辱や憎悪が言表行為のレベルにとどまることなく言表のレベルにダイレクトに現れている。 The art of deal(邦訳『トランプ自…

ラカンとポスト・トゥルース

Lacan quotidien 627号(2月21日付)にナタリー・ジョデルが「非理性の時代」という記事を書いている。 ジョデルは二十一世紀をサンボリックな二元性が曖昧化している時代と捉える。そこではさまざまな境界、分離、差異が消滅し、区別不可能になっている。 …

「幻想」としてのトランプ現象

e.c.f. 発行のウェッブ・ジャーナル Lacan quotidien 626号(2月20付)によれば、トランプ現象とはアメリカの「症状」ではなく「幻想」なのであるらしい。 ホルヘ・アレマンによると、トランプは一見すると資本主義の「ネオリベラル的危機」の症状のように…